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海外という新市場を考える
昨年10月に岸田文雄首相が輸出支援を表明すると、早速12月には経済産業省から新規輸出1万者支援プログラムが発表になりました。
背景には昨年秋以降、かつてない急速なペースで進んだ円安が語られることが多いですね。また2030年には我が国の高齢割合が31.8%となると予測されることなどから、国内市場の縮小を危惧して海外を検討される方も多いでしょう。こういった国内のネガティブな外部環境に目が行きがちですが、それだけでは不十分です。海外進出にあたっては海外の状況を客観的に俯瞰し、海外のポジティブ要素とネガティブ要素の両方を把握したうえで、自社の海外戦略を策定する必要があります。
その際、ざっくりと「国内」「海外」と二分で考えて、「ニーズがあるならどこにでも出そう」とする戦略はあまりお勧めできません。
海外とひと口に言っても、主要国やエリアによって状況は大きく異なります。特にコロナ禍以前から数年、十数年と海外に出ていない方は認識のアップデートが必要かもしれません。かつて「発展途上国」と言われた南アジアや東南アジア、アフリカなどの新興国の成長はすさまじいものがあります。一方で、戦争の影響による物価高や、コロナ対策による経済鈍化で否応なく景気動向が冷えてきている国もあります。
そして、どの国にも国家成長とともに変わる価値観と変わりにくい価値観があるようです。宗教や歴史に基づく文化や習慣、国民性とも言われる考え方の癖などは変わりにくい価値観です。一方で、いわゆる若者の人口比率が高い新興国を中心に、インターネットやSNSを通した文化醸成や新しい技術から生まれる音楽や映画、ゲームなどの体験への興味など、変わりゆく価値観も共存しています。
海外進出の際は、いくつかの国に標的を絞って市場調査を行い、自社のサービスや商品との相性やニーズを比較検討して絞り込みましょう。その際も、ざっくりとした国のイメージにとどまらず、その国に在住する潜在顧客の年代やジェンダー、属性、パーソナリティをしっかりと想定していく必要があります。幸い、現代では、動画アプリを通して海外の様子や価値観を垣間見ることもできます。SNSを通して接点を得ることもできるでしょう。そうやって顧客像と「なぜ自社が選ばれるか」という理由にある程度の仮説が立ったら、実際に現地に足を運んでみるのも有効ですね。
自社だけで顧客像の絞り込みや自社分析が難しいと感じたら、海外進出に経験豊富なWBAスタッフがお手伝いします。どうぞ、お気軽にお問合せください。
国際ビジネスTF
半田泰代